福島・沖縄・憲法思想はいまなにを語るべきか
高橋 哲哉:著, 前田 朗:著
発行:三一書房
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四六判 188ページ 並製
定価:1,600円+税
ISBN978-4-380-18006-4 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2018年05月
書店発売日:2018年05月16日

紹介

福島・沖縄・憲法……「棄民政策」をむき出しにした政治。
2018年・明治維新150周年、2019年・天皇代替わり、2020年・東京オリンピック……
これらを奇貨とし、突き進められる「改憲」。
私たちは、これに対抗するために、如何に思考し、行動すべきか?  高橋哲哉氏に聞く。

目次

第一章 フクシマ――3・11以後をあらためて考える
コラム1 原発民衆法廷
資料   原発民衆法廷判決
コラム2 避難の権利

第二章 日本問題としての沖縄米軍基地
コラム3 「土人」――植民地主義とヘイト・スピーチ

第三章 日本国憲法の行方――歴史認識から未来志向まで

前書きなど

 時代の転換期という言葉はとうの昔に手あかがついてしまったものかもしれません。それでも、2010年代後半の現在もやはり時代の転換期と呼びたくなる諸現象が溢れています。
 他方で、この社会では、貧困と格差が新たな「階級」化を遂げるほど分断が進行し、労働現場には悲痛な叫びが、聞き届けられることもないかのように静かに響き続けています。
 福島第一原発事故をはじめとする巨大技術の破綻と悲惨な結末が社会に深刻なダメージを与えています。しかし、科学者も企業も政治家も一切責任を取らず、事態を放置しています。
 沖縄への米軍基地押しつけによる「事故」の連続にもかかわらず、日本政府は徹底的な沖縄差別を断固として維持する姿勢です。本土の多くの人々がこうした事態を嘆きながらも、事態を変える手立てを見つけることができずにいます。
 集団的自衛権問題、安保法制という名の戦争法、これらに続く改憲問題を通じて浮かび上がってきたのは、この国には立憲主義も議会制民主主義も存在していないという戯画的状況です。形骸化したという生ぬるい言葉では実態を表現することができません。
 国際社会においても、差別と虚妄と横暴を実演するトランプ米大統領の思いつきに右往左往させられるメディア、独裁とテロと内戦と難民を抜きには語れない国際情勢、未確立の国際立憲主義を根底から覆そうとする軍事的冒険主義など、世界は予測不能のリスクにおびえ続けるありさまです。
 本書は、時代の転換期をどのように把握し、どのように思考し、次代への希望を紡いでいくのかという思いから、哲学者の高橋哲哉さんにインタヴューを行った記録です。原発問題、沖縄米軍基地問題、改憲問題の3つの柱に即して、過去と現在を見つめながら、時代の転換期を生きる一人の知識人が現実と格闘した思考の記録です。
 安易に未来予測や展望を語るのではなく、かといって現状追随に陥ることなく、自らの足場をしっかりと踏まえながら思考の可能性を追求する営為を追体験してください。



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