漱石から春樹まで日本近現代文学における羊の表象
江口 真規:著
発行:彩流社
この版元の本一覧
A5判 264ページ 上製
定価:3,400円+税
ISBN978-4-7791-2411-2 C0095
在庫あり
奥付の初版発行年月:2018年01月
書店発売日:2018年01月22日

紹介

羊が日本に輸入された明治時代以降、
日本近現代文学に描かれた羊の文化社会的意義とは何かーー


【漱石作品にみる羊】
『三四郎』で見る、羊の知識が得られる経緯や、
それに伴う表現の変遷とは?

【女性に例えられる羊】
開国以降、西欧人男性と関係を持った日本人女性が
「羅紗緬」と呼ばれ羊に擬えられてきた経緯とは?
唐人お吉物語などの文学作品との比較から検証!

【安部公房にみる羊】
満洲の牧歌的風景への憧憬や郷愁と、
「詩人の生涯」における羊の表象との関係性を分析!

【村上春樹にみる羊】
60年代以降の観光牧場の展開に継承されている
羊を囲む心象風景とは?


文学研究と環境問題・社会問題を結び付ける、
アニマル・スタディーズ/エコクリティシズムの提示!

目次

主な目次

第1章 夏目漱石『三四郎』
――「迷羊」の起源とその解釈

羊の異質性――日本における羊の歴史
「迷える羊」
――『新約聖書』と『トム・ジョウンズ』との比較
「堕落女学生」美禰子
「書く女」としての可能性の否定
――アフラ・ベーンへの言及を通して
漱石の英文学研究と羊

第2章 江馬修『羊の怒る時』
――関東大震災の怒れる民衆

江馬修の経歴と『羊の怒る時』
「羊の怒る時」と地震の発生
――黙示録的解釈
群れるものとしての羊
『台湾日日新報』への掲載理由
『羊の怒る時』に描かれた社会主義者弾圧の諸相
「羊を怒らすこと勿れ」
――羊飼いへの警鐘

第3章 らしゃめんの変容
――唐人お吉物語と戦後占領期における羊の表象

らしゃめんの起源とその変遷
唐人お吉物語
――十一谷義三郎『時の敗者 唐人お吉』を中心に
戦後占領期のらしゃめん――パンパンとの比較
高見順『敗戦日記』――去勢された小羊
大江健三郎「人間の羊」――《羊たち》の沈黙

第4章 安部公房作品における羊の表象
――満洲の緬羊政策と牧歌的風景の構築

変形譚としての「詩人の生涯」
――「綿」から「ジャケツ」へ
「詩人の生涯」と『詩集下丸子』
戦後日本と満洲の緬羊飼育
――ホームスパンと「ジンギスカン」
安部公房の植民地経験と羊
「盲腸」・「羊腸人類」・『緑色のストッキング』
――羊の腸を移植される人間

第5章 村上春樹『羊をめぐる冒険』
――「迷羊」の継承と羊に取り憑かれた者たち

村上春樹作品における羊と『三四郎』からの影響
観光牧場の誕生
――高度経済成長期の緬羊飼育
日本近代の象徴としての羊
――羊博士・アイヌ青年・羊男
羊博士の「羊つき」
――憑き物から精神病へ
先生の「羊つき」
――身体と精神のコントロール・テクノロジー

著者プロフィール

江口 真規(エグチ マキ)

Maki Eguchi.
えぐち・まき
1987年、熊本県生まれ。
筑波大学大学院人文社会科学研究科
文芸・言語専攻博士課程修了。博士(文学)。
現在、秋田県立大学総合科学教育研究センター助教。
共著:The Semiotics of Animal Representations(Rodopi, 2014)、
『異文化理解とパフォーマンス――Border Crossers』
(春風社、2016年)。
共訳:
ノエル・キングズベリー『樹木讃歌 樹木と人間の文化誌』
(悠書館、2015年)。



▲ページの上端へ