レンツとシラー「愛の時代」のドイツ文学(仮)
菅 利恵:著
発行:彩流社
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四六判 264ページ 上製
予価:3,000円+税
ISBN978-4-7791-2450-1 C0098
近刊
奥付の初版発行年月:2018年02月
書店発売日:2018年02月22日

紹介

近代化が進行した18世紀、
啓蒙時代は愛が特別な価値を与えられた「愛の時代」だった。

宗教的な枠組みがゆらぎ、
ナショナリズムにも染められていない過渡的な時代に、
新たな社会を担おうとした人々は、
家族を中心とする近しい人々との関係性を、
その自意識形成のよりどころにした。

ドイツ語圏の啓蒙時代を新しく「愛の時代」ととらえ、
レンツ(1751-92)とシラー(1759-1805)のテクストを
中心に「愛の時代」に生まれたさまざまな言説を分析。
市民知識層のアイデンティティ形成の主軸が
「道徳」から「ナショナリズム」へ変化した過程を
批判的に再構築する。

目次

序章 愛の時代の背景

本書の流れ──レンツとシラー、ほか

第1章 主体的なものと規範的なもの
    ──愛をめぐる言説と市民的アイデンティティ

市民的なものと愛──『ヴィルヘルム・マイスター』
啓蒙時代における恋愛観の変化
啓蒙時代の愛における「反市民的な」ものと
「市民的な」もの
作品例:『エミーリア・ガロッティ』ほか

第2章 J. M. R. レンツ──「愛の時代」をめぐる寓話

『哲学者は友達によって作られる』における友情と恋愛
「自伝」としての恋物語
──『森の隠者』錯誤としての恋
──レンツ作品の批判的可能性、ほか

第3章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治[1]

シラーにおける愛の特徴
──『ドン・カルロス』を糸口に
『 マルタ騎士団』論
──シラーにおける「男同士の愛」、ほか

第4章 18世紀後期における「政治的な愛」の諸相
──ヴィーラント、シューバルト、ハイン同盟

市民的な言説空間の発展
コスモポリタニズム──ヴィーラントを中心に
パトリオティズム──アプト、シューバルト、ハイン同盟
コスモポリタニズムとパトリオティズムの重なり
コスモポリタニズムとパトリオティズムを分かつもの

第5章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治[2]

『オルレアンの処女』と1800年前後のドイツ
「政治的な愛」をめぐる新たな葛藤
──『ヴィルヘルム・テル』における愛と政治、ほか

終章 愛国とジェンダー
   ──愛の言説の二面性

A. W. イフラントの家庭劇
──「国父イデオロギー」とジェンダー規範
コスモポリタンの愛
──ヴィーラントの『アリスティッポス』

著者プロフィール

菅 利恵(スガ リエ)

すが・りえ
三重大学人文学部文化学科准教授。
【著書】
『ドイツ文化を担った女性たち
──その活躍の軌跡』
(共著、鳥影社、2008年)、
『ドイツ市民悲劇とジェンダー
──啓蒙時代の「自己形成」』
(彩流社、2009年)。



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