磯崎新と藤森照信の茶席建築談義
磯崎新:著, 藤森照信:著
発行:六耀社
この版元の本一覧
A5判 416ページ 並製
定価:4,200円+税
ISBN978-4-89737-786-5 C3052
近刊
奥付の初版発行年月:2015年04月
書店発売日:2015年04月22日

紹介

日本における茶は、12世紀末期に栄西が中国から茶の葉を持ち帰ったときを始まりとする。そして700年後の20世紀初頭に岡倉天心が『茶の本』を書き下ろす。栄西から始まり、夢想、一休宗純、珠光、利休……そして煎茶の丈山などの文人など、その時々の茶はどのような空間で営まれてきたのか。
「禅」としての茶空間から、「道」としての茶空間へ。その700年間の間、日本は外部の世界に適用しない「畸空間」をひたすらつくってきたのではないか、と磯崎は言及する。
茶席は建築か? ビルディングタイプの「茶室」から、「囲い」と見立てた、林間や広間の「茶席」……談義のテーマは限りなく広がる。
中国と日本の、茶と茶にまつわる空間・思想・人物などについて、現代建築界の第一人者であり、茶の世界を知りうる二人、磯崎新と藤森照信が、時代ごとに談義を繰り広げる。中国(から)寄りのテーマ(栄西、天心ら)を磯崎氏が、日本(わ)寄りのテーマ(利休など)を藤森氏が、時々の茶人、近現代の建築家、寄書(南方録、茶の本など)を取り上げながら語り合う。さらには、そのバックにある日本建築史の持論にも言及する。
世界的に傑出して、今なおアクティブな活動を続けている磯崎氏の推察に対して、建築史のオーソリティーであり、ユニークな茶室論を展開しつつ、国内外に茶室をはじめ奇想天外な建築をつくり続けている藤森氏が鋭く応戦する。本書は、建築を古今東西の歴史のなかで語ることができ、茶の世界を知りうる二人だからこそ語り合える、茶の歴史をめぐる「日本建築」談義である。
図版を挟み込みながらわかりやすい紙面構成とし、また註釈が併記される。

目次

第1章 巨石文化と巨木文化
第2章 「てにをは」建築と「と」建築
第3章 和と雅への反抗 栄西と重源
第4章 九間と四畳半
第5章 市中の山居と茶室の由来
第6章 浄土庭園と『作庭記』
第7章 中国における自然と茶と庵
第8章 もし利休がいなかったら
第9章 〈崩し〉と『南方録』
第10章 石川丈山と煎茶席
第11章 天心と『茶の本』
第12章 茶室の可能性 「有時庵」を訪ねる
第13章 高過庵からみえてきたもの

図版点数約90点
人物、事象についての註釈付き

版元から一言

建築界の巨匠二人が、茶と茶をめぐる建築の話を、日本建築の歴史を辿りながら、語り合った。世界を飛び回る多忙な二人が、3年の歳月を費やして完成させた、圧巻の380頁。全て本書のための語りおろし。建築だけではなく歴史書としても一級品の仕上がりです。

関連書

『磯崎新建築論集 全8巻』(岩波書店、2013)、『挽歌集-建築があった時代へ』(白水社、2014)、『藤森照信の茶室学』(六耀社、2012)、『日本建築集中講義』(淡交社、2013)ほか。

著者プロフィール

磯崎新(イソザキアラタ)

1931年大分県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、丹下健三研究室を経て、63年磯崎新アトリエを設立。60年代に大分市を中心とした建築群を設計、90年代には、バルセロナ、オーランド、クラコフ、京都など、今世紀に入り中東、中国、中央アジアといった地域にまで国内外での設計活動を行う傍ら、建築評論をはじめさまざまな領域に対して執筆や発言をしている。またカリフォルニア大学、ハーバード大学などの客員教授を歴任、多くの国際コンペでの審査員も務める。代表作に「旧大分県大分図書館」(1966)「群馬県立近代美術館」(1974)「ロサンゼルス現代美術館」(1986)「なら一〇〇年会館」(1998)「カタール国立コンベンションセンター」(2011)など。著書に『建築の解体』(鹿島出版会、1997)「磯崎新の建築談義 全12巻」(六耀社、2001-04)、『建築における「日本的なもの」』(新潮社、2003)、『磯崎新建築論集 全8巻』(岩波書店、2013)、『挽歌集-建築があった時代へ』(白水社、2014)など多数。

藤森照信(フジモリテルノブ)

1946年、長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。86年、赤瀬川原平、南伸坊らと路上観察学会を結成し、『建築探偵の冒険・東京篇』を刊行(サントリー学芸賞受賞)。91年、〈神長官守矢史料館〉で建築家としてデビュー。97年、「赤瀬川原平邸に示されたゆとりとぬくもりの空間創出」で日本芸術大賞、98年、日本近代の都市・建築史の研究(『明治の東京計画』および『日本の近代建築』)で日本建築学会賞(論文)、2001年、〈熊本県立農業大学校学生寮〉で日本建築学会賞(作品賞)を受賞。2006年、第10回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展で日本館コミッショナーを務める。
著書に『藤森照信の茶室学』(六耀社、2012)、『日本の近代建築』上・下巻(岩波新書、1993)、『藤森照信の原・現代住宅再見』全3巻(TOTO出版、2002〜2006)、『日本建築集中講義』(淡交社、2013)ほか多数。




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